クリーニング屋がいらなくなる?

 

イオンから9月上旬に、水で洗うウール100パーセントのスーツが発売された。

価格18800円(税別)

税込み20304円。

約2万円で洗濯機で洗えるスーツが買えるようになった。

このスーツの特徴は生地の繊維にスケールオフ加工をしている点。

ウール品は水でもみ洗いすると縮みます。

これは繊維表面のスケール(うろこ状の表皮)の先端が立ち上がり、スケール同士のかみ合いが生じ、絡み合ってしまうことが原因です。

水で洗っても縮まないようにするには、スケールの先端を取り除いてしまうか、スケールの先端が立ち上がらないようにすることなどが考えられます。

そのような処理加工をスケールオフ加工といいます。

スケールの先端を取り除いてしまう代表的な方法が「酸化法」。

スケールの先端が立ち上がらないようにするのが「樹脂法」。

どちらの方法も防縮できますが、ウール本来の特性が保持できませんでした。

ウールの特性
熱伝導率が低いので、冬は暖かく、夏は涼しい
吸湿性に優れる
空気中の湿気を吸収し、水分が蒸発するときに気化熱を奪うため、夏は涼しく感じる
染色性が良く、色落ちしにくい
弾性が高く型くずれしにくい、しわになりにくい
しわになっても、蒸気を当てると簡単に戻る

等々

 

その欠点を克服したスケール加工が「オゾン処理法」

この新しい防縮加工法は、糸を紡ぐ前段でウールにオゾンを反応させ、繊維表面のスケールの性質を変えてしまうというもの。

濡れてもスケールの先端が立ち上がらなくなる。

スケールが除去されたり、樹脂で覆われたりしないので、ウール本来の特性が保持でき、毛玉になりにくい。

良いことばかりのような気がしますが、水に濡れてもスケールが開かないということは、放湿性の面で本来のウールより劣る気がします。

それでもその快適さより、クリーニング代を節約したいという要望のほうが大きいんでしょうね。

イオンのスーツがどのスケールオフ加工をしているかわかりませんが、本来のウールの特性を超える製品が出るのはもう少し先になりそうです。

それでもクリーニング屋さんが大変になっていくことは間違いないです。

スーツを家の家庭用洗濯機でザブザブ洗うのが当たり前になっていきそうです。

 


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おせっかいクリーニング(TVを見ての感想 その1)~しみ抜きについて~

 

平成30年6月4日にテレビで「クリーニング屋さん」が6月7日にテレビ東京(7チャンネル)で特集されるとブログで書きました。

http://tatsuzousan.com/?p=1455

凄く楽しみにしていました。

しかし、その期待は大きく裏切られました。

最初に「えっ?」という疑問を感じてから、最後まで納得の行くところがありませんでした。

プロから見たらおかしなことばかりで驚きを通り越して呆れてしまったというのが本音です。

一般の消費者の人から見たら「へぇ~」とか「そうそう」と納得できる内容だったのでしょうか?

おそらく、この番組はクリーニングに関する知識がない人によって制作されたんでしょうね。

大変な業界の中で売上を上げている会社に興味があっただけなんだと思います。

最初から最後まで疑問だらけでした。

このブログも最初から最後まで批判的な感じになるかもしれません。

なので、このブログも書くことを戸惑いました。

批判ぽくなってしまいそうだからです。

ただ、クリーニング業界でも、ブログ村でもまったく話題になっていないし、触れられてもいない。

番組の最後に「クリーニング屋さんはいい人が多いですよ」とテロップで流れたが、そのとおりだと思います。

10年程度しかクリーニング師をやっていない私が疑問に思うようなことでも、クリーニング屋さんは全く批判らしいことや疑問を呈することがないんです。

昨日もクリーニング屋の講習会だったので、クリーニング師歴30年以上の方々3人にこの番組を見たか聞いてみました。

3人ともクリーニング屋の番組はわざわざは見ないそうです。

理由は「嘘ばっかりだから」だそうです。

この番組だけでなく、他の番組でも間違った情報を垂れ流しているようです。

嘘ばかりだから諦めるのではなく、情報発信できる現代においては、正確な情報を発信することが必要だと思います。

我関せず、自分の仕事に邁進する。

個人経営者のクリーニング師は孤高の職人なのかもしれませんね。

私は孤高の職人ではないので、思ったことを書かせていただきたいと思います。

私がブログを始めたのは、クリーニング業者と消費者の圧倒的な情報量の差を埋めるべく始めたので、批判されることを覚悟の上で書かせていただきたいと思います。

 

オープニングは衣替えの季節でクリーニング屋がセールをしている様子。

経験の浅い私にはこれも業界の不思議な点です。

通常どの業界でも繁忙期は値段が上がるはずです。

経済原則からすれば当たり前のことですよね。

それにもかかわらずクリーニング業界だけは繁忙期にセールで安くするんです。

でも、これは一般の方のイメージですよね。

この業界は不思議な事がたくさんあるんです。

(どこの業界も不思議なことはあると思いますが。)

さて本題です。

セールもしていないのにおせっかいで売上を上げていると言って、東田クリーニング(リナビス)さんのお客さんが登場します。

東田クリーニングさんが行っている宅配サービスが「リナビス」という名称です。

お客さんがクリーニング品を箱から取り出しているようす。

送られてきた洋服を見ているところ。

そして、カレーのシミが付いたワイシャツ。

ナレーションで「頼んでもいないのに」と言っていたので、しみ抜きを頼んでいないらしい。

シミの映像があるということは、リナビスに依頼する前から撮影していたということですよね。

しみ抜きのタグ。

しみ抜きを頼んでいないということはなんのシミかわからないと思うのですが、はっきりと「カレー」と書いてある。

この状態で「カレー」ってわかりませんよ。

それがわかるから達人なんだという反論があるかもしれませんが、達人でもわかりません。

達人と呼ばれている人を何人か知っていますが、見た目で油性のシミかタンパク系のシミ(動物に由来する汚れ)かタンニン系のシミ(植物に由来する汚れ)かはある程度判断できると思います。

シミを触ったり揉んだりして硬さで判断できることもあります。

しみ抜き剤をつけて、その反応で付いているシミの種類を判断できる場合もあります。

しかし、見た目だけでカレーのシミと判断できる人などいません。

それにシミのタグをつける人は達人ではなく受付の人ですからね。

後で出てきますがこの宅配サービスの料金は10点で1万円なんです。

ということは1点千円なんですよ。

その宅配に私だったらワイシャツは入れません。

近所のクリーニング屋さんにワイシャツ千円でクリーニングに出したら、しっかりとしみ抜きしてくれますよ。

「カレー」「赤ワイン」は身近でシミが取れにくいタンニン系のシミの代表例です。

しみ抜きの基本でこのブログでも書きましたが、何が付いているか不明のシミの場合、しみ抜きの順序は

1油性しみ抜き剤

2タンパク系しみ抜き剤

3タンニン系しみ抜き剤

と使用します。

ところが、「カレー」や「赤ワイン」はアルカリ剤を使用すると変色して取れにくいシミに変化してしまうのです。

タンパク系のシミ抜き剤はアルカリなのです。

なので、シミの種類が「カレー」もしくは「赤ワイン」とはっきりわかっている場合、

1油性シミ抜き剤

2タンニン系のシミ抜き剤

と使用すればカレーのシミは落とせます。

何もせずにクリーニング屋さんに持ち込んで、その旨を伝えてもらえれば簡単に落とせるんです。

このブログでも子供が体操着につけてきたカレーのシミを落としたものを載せていますが、カレーだとわかっていれば簡単に落とせるんです。

だから普通のクリーニング屋さんは何時、何がついてどのくらい時間が経過し、なにか作業をしたか(洗濯したり、しみ抜きしたりしたか)を尋ねるんです。

何のシミかわからないシミを落とすには、ある程度の技術と経験がいると思います。

しかし、何のシミかわかっている場合は、落とせるか落とせないかの判断は普通のクリーニング屋でも十分できます。

 


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プリーツ加工

 

今朝の新聞にプリーツ加工業者「南海プリーツ」が掲載されていた。

プリーツとは簡単に言うと衣服のひだのことです。

プリーツ加工とは
スカート,ブラウス,ズボン,飾りレースなどに,雨などで簡単にとれることのないひだ(プリーツ)を付ける加工です。

代表的な繊維加工を目的別に整理すると

1精錬漂白

2繊維の改質加工

3染色加工

4布の仕上(整理)加工

5複合加工(素材)

に分類される。

プリーツ加工は4布の仕上(整理)加工に分類される。

最近の衣料用生地は、耐久性よりもファッション性が、重厚性よりも軽快性が要求される。

ファッション衣料の場合は布の感触や機能に特徴が求められる。

加工素材は、繊細な加工や特殊な加工が施してあり、着用やクリーニングの影響により布の感触が悪化しやすい製品、加工剤が脱落しやすい製品、機能が低下しやすい製品なども作られている。

したがって、クリーニング屋は、繊維素材の本質を知ると同時に、繊維製品にどのような加工が施されているかということを知ることが重要になってくる。

綿やポリエステルのプリーツ加工は崩れることはあまりないが、ウールなどの獣毛のプリーツ加工はかなり崩れることが多い。

プリーツ加工されたウール等のしみ抜きは、シミを抜いたあとにプリーツを付ける作業をしなければならないので、クリーニング屋泣かせである。

 

本日のしみ抜き

シミが付いたもの ピロケース

組成 綿

シミの種類 不明

大きさ 8mm

経過時間 不明

洗濯 済

加熱 あり

 


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